オリジナル版とディレクターズカット版

DVD収録のメイキングによれば、撮影後の最初のバージョンは全編3時間半に及ぶもので、当初ルーカスの構想ではカート、スティーヴ、ジョン、テリーの4人のストーリーラインが常に同じシーケンス上で表示されるようなスクリプトであったそうだが、2時間という制約の中で大幅に修正されシーンのカットも余儀なくされた。

かくして4つのストーリーを織り交ぜながら同時進行する群像劇(アンサンブル・キャスト)スタイルとなったが、逆にこの展開こそグラフィティ(落書き)たる所以であり功を奏したと言えるのではなかろうか。

こうして1973年に公開された上映時間110分のバージョンこそが数々の記録を残している映画『アメリカン・グラフィティ』であり、「オリジナル版」と呼ばれるものである。

周知の通りルーカスは、次作の『スター・ウォーズ(Star Wars)』(1977)で世界的な成功を収め、瞬く間に時の人となる。そして多くの人々が彼の軌跡を辿り、『アメリカン・グラフィティ』が再評価されたのも事実であろう。

続編の『アメリカン・グラフィティ2』の制作はユニバーサルの思惑ではあったが、その公開を前に、前作『アメリカン・グラフィティ』を1978年に再上映している。

この1978年版は、単なるリバイバル上映ではなく、当初カットされたシーンを復活させた「オリジナル・ディレクターズカット版」として公開されたのだが、『アメリカン・グラフィティ2』の伏線として、シナリオの辻褄合わせがなされている点もある。

今日DVD等で知られている映画『アメリカン・グラフィティ』は、この1978年「ディレクターズ・カット版」をベースにしており、1973年の「オリジナル版」に3シーンを追加したロング・バージョンである。

この項では「オリジナル版」との違いや、その後のリメイク点にも触れておく。

公開年

アメリカでは一般的に“1978 re-release”と呼ばれ、日本での上映は1979(昭和54)年。

キャッチコピー

  • 米国・・・“is Back”
  • 日本・・・“これこそが若者映画のオリジナル!”

挿入シーン

  • ホップシーンの”Louie Louie”部分のスティーブが教師に注意されるシーン
  • テリーがクルマをぶつけた後に立ち寄る車屋のシーン
  • ローリーを同乗させながらのファルファの鼻歌シーン

ジョン・ミルナーの命日

エンドロールにて1964年6月に死亡したことになっているジョン・ミルナーが、ディレクターズ・カット版では『アメリカン・グラフィティ2』のシナリオに合わせ、1964年12月に変更されたという説があり、英語版wikipediaでも出典元が掲載されている。

原作本ではそれを裏付けるように1964年6月とされているが、アメリカでも過去に放映されたTVやセルビデオは全てディレクターズ・カット版である為、オリジナル版フィルムの検証が待たれる件である。